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SDGs達成に向けた札幌宣言の実行
-Efficiency+Sufficiencyへの取り組み- <ライブ配信併用>

開催概要

日時:2024年3月20日(金) 13:00~17:00

会場: 大阪公立大学 中百舌鳥キャンパスS会場 (B1棟 1F 第1講義室)

主催: 化学工学会 戦略推進センター SDGs検討委員会
共催: 化学工学会 産学官連携センター
    化学工学会 地域連携カーボンニュートラル推進委員会
    化学工学会 男女共同参画委員会
協賛: (公社)新化学技術推進協会・(一社)日本化学工業協会
後援: 日本学術会議

参加形態:現地参加、オンライン参加 いずれも可能

オーガナイザー:・山本 光夫(東京大学)・花田 汐理(三井化学(株))
・天沢 逸里(東京大学)・木村 雅晴(住友化学(株))・大神田 貴治(富士電機(株))

開催趣旨: 化学工学会は、2019年9月APCChE2019において『国連持続可能な開発目標(SDGs)に関する宣言-人々の「健康、安心、幸福」のための化学工学-』と題する札幌宣言を発表しました。SDGsを共有ビジョンとし、化学工学者が、化学工学と関連する技術の進歩を通して、人々のウェルビーイングの推進へ貢献することを第一の目的としています。

この札幌宣言の実現に向けて、これまでの秋季大会や年会において「多様な分野の協働で実現するサーキュラーエコノミー」「安全な水への化学工学の貢献」,そして「多様な人材が活躍する未来の化学工場」といった宣言に含まれる内容に関連したテーマでシンポジウムを開催し、全員参加型のグループ討議も行い、学会内外の方々と議論を深めてきました。更に第88年会では、「ありたい未来社会のための化学工学」との内容で、SDGs検討委員会のメンバーで取り組んだ成果について報告し、産学官連携の議論を進めました。

今回の年会シンポジウムでは、Efficiency+Sufficiencyの取り組みを進める研究者・専門家からのご講演とともに、SDGs検討委員会によるEficiency+Sufficencyの推進に向けて重ねてきた議論の成果を報告し、札幌宣言の具現化に向けた実際の取り組みを加速させるべく、議論を更に深めていくことを目的とします。

プログラム

13:00~ 13:05 開会挨拶 (東大院農)
 (正)山本 光夫
13:05~ 13:40 [招待講演] SDGsやCN(カーボンニュートラル)のアプローチに関する考察
講演要旨PDF
(エネ総研)
国吉 浩
13:40~ 14:15 [招待講演] 商船三井 環境への取り組み~将来世代へ繋ぐブルーカーボン~
講演要旨PDF
(商船三井)
香田 和良
14:15~ 14:25 休憩  
14:25~ 15:00 [依頼講演] 札幌宣言の実現のために~ひとりひとりに求められることとは~
講演要旨PDF
(三井化学)
(法)花田 汐理
15:00~ 16:00 グループ討議  
16:00~ 16:40 サマリー  
16:40~ 17:00 ミキサー  

グループ討議

5つのグループにわかれ、架空の企業「カコーX」の社員として製品製造のプロジェクトを進めるか、ロールプレイを行いました。議論の際には、本委員会作成の「E+Sチェックリスト」およびロールプレイカードを使用しました。
人事部・事業部・研究者になりきっての白熱した議論。各グループでは、どのような話し合いが行われ、どのような結論に至ったのでしょうか? 学生アシスタントにまとめていただきました。


グループ 1

グループ1では結論としてプロジェクトは進める方針となった。また海外での展開を進める方針となったが、まずは日本で試験的な工場を作り安全であることを確認した後に行うこととした。研究者は細かいところを検討することとした。人事や事業部は場所の立地などその国に関することを知ることが大切だという結論に至った。中でも労働者で働いて嬉しい人と化学物質が放出されることを好まない人との兼ね合いを考えなければならないという判断があった。さらに法律の専門家にも入ってもらわなければ手続きを進められない点も上がった。

グループ 2

グループ2では、アジア地域へのXミックス法の導入を進めていくという結論に至った。その結論に至った理由としては、新技術であるXミックス法は今後世界的に求められるGHGs排出量の削減に貢献できること、学術的にも評価が高いことからカコーX社の開発力をアピールできること、新技術の導入により現地スタッフのモチベーションの向上が期待できることなどが挙げられた。一方で課題点としてはコスト面の具体的な検討が進められていないこと、現地での規制が厳しい環境汚染物質の排出がゼロではないこと、国内新技術を海外に移植するだけで、現地主導で新しいことを始めたいと感じているアジアの技術者たちのモチベーションが上がるとは言い切れないことなどが挙げられた。環境汚染物質と現地技術者のモチベーションについては、汚染物質の分離・分解装置の開発を現地研究機関と共同で進めることが解決策として挙げられた。その一方で開発を完全に現地グループに任せることによる情報漏洩の危険性も指摘されたため、本社から数名を派遣してチームビルディングを進めていくという方針となった。

グループ 3

Xミックス法の開発は進めるという結論になった。まず現在既にA-MIX法を製造しているK国ではそのまま製造を続行する。その際にはFCCの分解装置を設置することで,生産を続ける。この利益は確保しておく必要がある。現在はK国からN国へ輸出が行われている。N国でX-MIX法を新規事業として開発を行う。その点では複数の課題、未解決点を調査する必要がある。N国では生産の経験がないため、現地の受容性や雇用創出の影響、工場を建設できる土地があるか、言語の壁などはクリアにしておかなければならない。そのために、N国での環境の専門家、知財の知識を持つ専門家を加えて議論を行うことで前述の点をクリアできると考える。

グループ 4

研究者が提案する新しいプロジェクトについて、研究者、事業リーダー、人事リーダーの3つの立場から意見を出し合い、このプロジェクトを進めるべきか議論を進めた。
はじめに、各役割のロールプレイカードの情報を共有し、E+Sチェックリストの該当箇所に付箋を貼っていった。そして各役割の視点から質疑応答を繰り返し、足りない情報についても補足していった。議論が進むにつれ、ロールプレイカードに書いていない商品の品質、導入コスト、補助金の有無、会社の概要など様々な観点から疑問が出てきた。散発的な議論に陥りがちな時に、E+Sチェックリストを随時確認することで、多角的な視点で考えることができた。
グループ討議の結果、研究者が提案する従来の方法よりも革新的な「Xミックス法」を進めるべきである結論に至った。結論に至った背景としては、N国での需要の多さと、GHGを飛躍的に減らせることから、環境規制が厳しいN国でも導入できると考えたためである。
しかし品質に関する分析結果が不十分であるため、国内で試験的に導入したのちにN国に工場をつくることで、開発のリスクを最小限にすることが提案された。またプロジェクトの導入にあたり、周辺住民や現地の労働者、さらに現地の雇用や法律に詳しい専門家との協働が必要であるという意見が出た。研究者目線だと技術中心の考え、事業リーダー目線だと損益中心の考えになってしまうところを、人事リーダーの存在によりヒトの視点にも重きをおいて議論できたことが印象的だった。本グループワークにより、意思決定の際には様々な分野の専門家と垣根を越えて議論することが大切であると感じた。

グループ 5

グループ5の討議では、新たな製造技術であるXミックス法の導入に対し、肯定的な意見が多く挙がった。新たな製造技術は、GHGの削減ができ、会社の技術力をアピールするための起爆剤になると高評価であった。一方で、製品の生産量不足の問題や初期投資等の懸念点も挙がった。研究者、事業部、人事部の3つの役割によるグループ討議の結果、新たな製造技術は、工場を建設する国の技術者を自国に呼び、国内で段階的に採用していくという結論に至った。
この方針でプロジェクトを進めていくためには、工場を建設する国の宗教・文化を理解し、現地の人は何を評価するのか等の思考、環境、教育機関の有無や良い人材が雇用できるのかの調査も必要だと考えた。また、具体的な生産量の数値シミュレーションやコスト、リスク、競合会社や現地の事情等の情報があれば、新たな製造法を導入すべきか否かの判断が容易になると感じた。
本討議ではE+Sチェックリストを活用したが、議論開始直後は技術・プロセスの視点、環境の視点の項目の意見が多く挙がり、議論終盤になるにつれて人の視点の項目の意見が増えたことが印象的であった。今回のグループ討議では、人の視点を後回しにしてしまったが、E+Sチェックリストによって、議論が不十分な項目に気が付くことができた。どのようなプロジェクトであれ、これら3つの視点は必要不可欠であるため、チェックリストは余すところなく議論するための手助けになると感じた。